Pythonは、コードの可読性(読みやすさ)を重視して設計されており、他の言語に比べてシンプルな文法が特徴です。
1. インデント(字下げ)のルール
Pythonの最も重要な特徴の一つは、処理のまとまり(ブロック)を示すためにインデント(字下げ)を使用することです。他の言語のような括弧({}
)は使いません。
- ルール: 通常は半角スペース4つを使います。インデントがズレると、プログラムがエラー(
IndentationError
)になるので注意が必要です。 - 用途:
if
文、for
文、関数(def
)などの制御構造の内部を示す。 - #の行はコメント文。説明文であり、プログラムの動作と無関係
# if文の例
score = 85
if score >= 80:
print("合格です") # この行がifブロックの処理
print("よくできました") # 同じインデントなのでこれもifブロックの処理
else:
print("不合格です") # elseブロックの処理
2. 変数とデータ型
変数は、データ(値)に名前を付けて保存するための箱のようなものです。Pythonでは、変数の宣言時にデータの型を指定する必要がありません。
データ型 | 説明 | サンプルコード |
int (整数) | 整数(小数点のない数字) | age = 25 |
float (浮動小数点数) | 小数点のある数字 | pi = 3.14 |
str (文字列) | 文字データ(シングルまたはダブルクォーテーションで囲む) | name = "Taro" |
bool (ブール値) | 真(True )または偽(False ) | is_ready = True |
# 変数の代入
message = "Pythonへようこそ"
count = 10
# 変数の表示
print(message)
# 変数を使った計算
result = count * 2
print(result) # 出力: 20
3. コレクション(データの集まり)
複数のデータをまとめて扱うためのデータ構造です。
コレクション | 説明 | 特徴 | サンプルコード |
list (リスト) | 順番のある、変更可能なデータの集まり | [] で定義。要素の追加・削除が可能。 | fruits = ["apple", "banana", "cherry"] |
tuple (タプル) | 順番のある、変更不可能なデータの集まり | () で定義。データ保護に適している。 | point = (10, 20) |
dict (辞書) | キーと値のペアでデータを管理する集まり | {} で定義。「キー」で「値」を検索する。 | person = {"name": "Jiro", "age": 30} |
# リストから2番目の要素を取得 (インデックスは0から始まる)
print(fruits[1]) # 出力: banana
# 辞書から'name'キーの値を取得
print(person["name"]) # 出力: Jiro
4. 制御構文
プログラムの処理の流れを制御する文法です。
4-1. 条件分岐(if
, elif
, else
)
特定の条件に応じて、実行する処理を切り替えます。
num = 15
if num > 20:
print("20より大きい")
elif num > 10: # ifの条件がFalseだった場合に次の条件をチェック
print("10より大きい")
else: # すべての条件がFalseだった場合に実行
print("10以下")
# 出力: 10より大きい
4-2. 繰り返し処理(for
ループ)
リストや範囲など、指定された回数だけ処理を繰り返します。
# リストの要素を一つずつ取り出して処理
for fruit in fruits:
print(fruit)
# 出力: apple, banana, cherry (1行ずつ)
# 0から2までの数字を繰り返す
for i in range(3):
print(i)
# 出力: 0, 1, 2 (1行ずつ)
5. 関数(def
)
特定の処理をひとまとまりにして、繰り返し使えるようにするものです。
- 定義:
def
キーワードの後に関数名と引数(必要な入力値)を記述します。 - 戻り値: 処理結果を呼び出し元に返すには
return
を使用します。
# 関数の定義
def add_numbers(a, b):
sum_result = a + b
return sum_result # 計算結果を返す
# 関数の呼び出し
total = add_numbers(5, 3)
print(total) # 出力: 8
これらの基本文法を理解すれば、Pythonで簡単なプログラムを作成し、さらに応用的なライブラリの学習へと進むことができます。まずは、小さなコードをたくさん書いて動かしてみましょう!