JavaScript (JS) は、Web開発において**「動き」と「対話性」を与えるプログラミング言語です。HTMLがページの構造を作り、CSSが見た目を整えるのに対し、JavaScriptはユーザーの操作に応じた処理や動的なコンテンツの変更**を実現します。
今やJavaScriptはWebブラウザだけでなく、サーバーサイド(Node.js)、モバイルアプリ、デスクトップアプリ開発まで、幅広い分野で使われる、最も重要な言語の一つです。
この記事では、JavaScriptの役割と基本的な文法をわかりやすく解説します。
1. JavaScriptの役割:Webの「脳」
JavaScriptの主な役割は、静的(動かない)なWebページを動的(変化する)にする点にあります。
要素 | 役割 | JavaScriptでの実現例 |
HTML | 構造 | ボタンを配置する |
CSS | 装飾 | ボタンの色や大きさを決める |
JavaScript | 動作 | ボタンがクリックされたら、画面にメッセージを表示する |
主な活用例
- DOM操作:ボタンクリックでテキストを書き換えたり、画像を入れ替えたりする。
- 非同期通信(Ajax/Fetch):ページを再読み込みせずに、サーバーから新しい情報を取得し、表示を更新する(例:SNSの「いいね!」カウンターの更新)。
- フォームの検証:ユーザーが入力したメールアドレスが正しい形式かチェックする。
- ゲーム開発:ブラウザベースのゲームを制作する。
2. JavaScriptの導入方法
JavaScriptのコードをHTMLに組み込む方法はいくつかありますが、通常は外部ファイルとして読み込みます。
外部ファイルとして読み込む (推奨)
script.js
といった外部ファイルにJavaScriptを記述し、HTMLの**<body>
タグの閉じタグ(</body>
)の直前**で読み込むのがベストプラクティスです。これにより、HTML要素の読み込みが完了してからスクリプトが実行されるため、表示速度が速くなります。
HTML
<body>
<script src="script.js"></script>
</body>
<script>
タグ内に直接記述
簡単な処理であれば、HTMLファイル内の<script>
タグ内に直接記述することもできます。
HTML
<script>
console.log("Hello, JavaScript!");
</script>
3. JavaScriptの基本文法 📝
ここでは、JSの基本的な書き方を見ていきましょう。
1. 出力とデバッグ
開発中に値を確認したり、簡単なメッセージを出力したりするには、主にconsole.log()
を使います。これは、ブラウザの開発者ツールの「Console(コンソール)」タブに出力されます。
JavaScript
// コンソールにメッセージを出力
console.log("JavaScriptの世界へようこそ!");
// 警告メッセージを出力
console.warn("この処理は非推奨です。");
2. 変数とデータ型
JavaScriptで変数を宣言するには、主にlet
またはconst
を使います。
let
:後から値の再代入が可能な変数を宣言します。const
:一度値を代入したら**変更ができない(定数)**を宣言します。
JavaScript
// 変更する可能性がある値には let を使う
let userAge = 30;
userAge = 31; // 再代入が可能
// 変更されない定数には const を使う(常に推奨される)
const userName = "Kenji";
// userName = "Taro"; // エラーになる
// データ型
const num = 10; // 数値 (Number)
const text = "Hello"; // 文字列 (String)
const isTrue = true; // 真偽値 (Boolean: true/false)
3. 関数(Functions)
特定の処理をひとまとめにし、名前を付けて再利用可能にしたものが関数です。
JavaScript
// 関数を定義する
function greet(name) {
// 処理ブロック
console.log("こんにちは、" + name + "さん!");
}
// 関数を実行する(呼び出す)
greet("Sato"); // 出力: こんにちは、Satoさん!
greet("Tanaka"); // 出力: こんにちは、Tanakaさん!
4. 条件分岐 (if
文)
指定した条件によって、実行する処理を切り替えます。
JavaScript
const hour = 15;
if (hour < 12) {
console.log("おはようございます。");
} else if (hour < 18) {
// hour が 12以上 18未満の場合
console.log("こんにちは。");
} else {
// 上記のいずれの条件にも当てはまらない場合
console.log("こんばんは。");
}
// 出力: こんにちは。
5. DOM操作の基本
Webサイトに動きをつける上で最も重要なのがDOM (Document Object Model) 操作です。これは、HTMLドキュメントのすべての要素をオブジェクト(JavaScriptから操作可能なデータ)として扱い、その内容やスタイルを変更する手法です。
要素の取得と変更
特定のIDを持つHTML要素を取得し、その内容を書き換える例です。
HTML
<p id="message">初期のテキスト</p>
JavaScript
// 1. IDを使って要素を取得
const targetElement = document.getElementById("message");
// 2. 要素の内容(テキスト)を変更
targetElement.textContent = "JavaScriptで書き換えられました!";
// 3. 要素のスタイルを変更
targetElement.style.color = "red";
4. 次のステップ:イベント処理
JavaScriptが真価を発揮するのは、ユーザーの操作に応じて動作するときです。これをイベント処理と呼びます。
ユーザーがボタンをクリックしたり、キーボードを押したりしたときに、特定の関数を実行する処理を設定します。
HTML
<button id="myButton">クリックして!</button>
JavaScript
// 1. ボタン要素を取得
const button = document.getElementById("myButton");
// 2. イベントリスナーを設定(「クリック」イベントを監視する)
button.addEventListener('click', function() {
// クリックされたときに実行される処理
console.log("ボタンがクリックされました!");
alert("ありがとう!"); // ポップアップを表示
});
このイベント処理をマスターすることが、動的なWebサイト開発の鍵となります。
JavaScriptは非常に奥深く、そして楽しい言語です。まずは簡単なDOM操作から始めて、Webサイトが自分の書いたコードで変化する感動を体験してみてください!